自分の実際のポジションからリスク許容度を診断する
今回はリスク許容度について思ったことを書きたいと思います。
詳細は省きますが、対数関数の効用曲線を持つ投資家の、効用が最大となるリスク資産の割合は以下の式で求められます。
リスク資産比率=(1/リスク回避度)x{(期待リターン-無リスク金利or借入金利)/標準偏差^2}
リスク回避度が高い(低い)とは、リスク許容度が低い(高い)ことを示します。
例えば私の急落前のリスク資産比率は生活防衛資金も含めると、80%でした。
これに急落前のVIXの上値(だいたい15%)やら、株式の期待リターン(6%)を入れてみます。
0.8=(1/リスク回避度)x(0.06/0.15^2)
これをリスク回避度について解くと3という数字が出てきました。
このように、自分の実際の行動(ポジション)を使って、選好を推定することを顕示選好と言うみたいです。
「持ち株が20%下がったらどうするか」のような証券会社の質問に対して、どのように答えたか?ではなく、実際に起きた時の自分の行動を見たほうが正確だろうというのは当たり前の話ですね。
研究ではリスク回避度は2から4の間に収まる人が多いそうです。私は見事ど真ん中。他人よりリスクに特別鈍感というわけでは無さそうです。
では、これを現在の状況にあてはめるとどうなるでしょうか?
上の式で求めたリスク回避度を使って、リスク資産比率を逆算します。
リスク資産のリターンのハードルレートは実質で年8%とします。他人がどうとか、過去平均がどうとかではなく、レバレッジを掛けてでもこれくらいのリターンを私は資産運用に要求しているというもので、正解はありません。
また、足元のVIXは24%です。
リスク資産比率=(1/3)x(0.08/0.25^2)=0.46
リスク資産比率は46%が最適解という数字が出てきました。切りよく50%といったところでしょうか。
これが、現在のボラティリティにおける、私のリスク許容度いっぱいのリスク資産の割合です。
内省的なリスク回避度を数字で規定してやることで、機械的なリバランスが行いやすくなります。
10/11の記事で、市場が荒れているけど乗り切る。という趣旨の内容を書きましたが、バイ・アンド・ホールドで乗り切るとは書いてない...
...ということで、11日の取引開始後もVIXが下がらない事を確認した後、上記の計算をぱぱっと行って、現金比率を50%まで引き上げました。
これが記事を上げてからたった3時間後のこと。
現在では生活防衛資金を含め、このような配分になっています。ただし年金と確定拠出年金は入っていません。
リスク許容度を守って投資しましょう。と、よく言われます。
今回急落したその日のうちに株を慌てて売った訳ですが、事前と事後でリスク回避度は全く変わっていません。変わったのは市場のボラティリティの方です。
よって、リスク許容度を超えた危険な投資は全く行っていないと真顔で断言できます。狼狽売りだっせー。のような煽りも全く効きません。
今後はVIXが下がってきたら、淡々と株式割合を戻していく、あるいはVIXがさらに上昇したら株を追加で手放していく方針です。
VIXを気にしながら いちいち取引していたら税金や手数料が嵩む。というのはごもっともですが、私はリターンの追求よりもリスクを管理する方を重要視する。というスタンスです。