アング『資産運用の本質』読書メモ① 「長期投資は短期投資である」
少し前、Kindle版の『資産運用の本質-ファクター投資への体系的アプローチ(アンドリュー・アング)』を購入しました。
驚異の55%オフとなっていまして、まさにバーゲンハンティング。
わずか4131円の出費で済みました。
Kindle本なので厚み重みはわかりませんが、ボリューム満点の本なので読み進めつつ、気になった箇所を自分用のメモ書きとして したためるものです。
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以下、斜体文字は上記書籍からの引用部分。
赤文字は私のメモなので無視して構わないです。
”動的ポートフォリオ選択問題は、一種の最適制御問題である。これは動的計画法によって解くことができ、同じ手法は原子力発電所や月へのロケット移送、複雑なデリバティブ証券の価格評価にも使われている。”
”ポートフォリオ選択は、文字通りロケット科学なのである。”
”動的計画法は、長期投資期間の問題を一期間の問題の繰り返しへ変換する”
”長期投資期間における動的計画法の解法を知ることで、長期投資に関して広く信じられている二つの誤解を解くことができる”
”バイ・アンド・ホールドは最適ではない”
”バイ・アンド・ホールドは毎期取引を行う最適な動的戦略に劣後するため、長期投資はバイ・アンド・ホールドではなく、購入と売却を継続的に繰り返すことになる。”
”バイ・アンド・ホールドにまつわる混乱は、ジェレミー。シーゲルによる『株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド』を多くの人が誤って解釈してしまったことも部分的に起因する。"
"この書籍はしばしば「バイ・アンド・ホールドのバイブル」と評される”
”シーゲルは株式への長期にわたる配分にこだわることを唱えており、(中略)一定配分比率を維持するために、投資家は株式が下落すれば株式に追加配分する。すなわち長期投資家はバイ・アンド・ホールドするのではなく、常に売買するのである。”
→本国でもシーゲル教授の本は投資家に混乱をもたらしている模様。
上の引用部分に違和感を覚える人は、知らず知らず給与所得からの入金をアテにしているのかもしれない。リタイア後に現金無しの株式100%PFを組めば別の視点が見えてくるだろうか?
シーゲル教授が推奨した株式ウェイトは、30年間リスク選好派であり続けてようやく約140%に達する。
別のページではリバランスプレミアムは年1%程度とあるので、手数料を考えると1万ドル以上のリバランスが最小ロットだろうか?ウェイト調整用として、レバレッジETFを採用すれば3000ドルくらいからでも効用は期待できるか?
”長期投資は短期投資である”
”もう一つのよくある誤解は、長期の投資期間を想定するから、長期投資家は近視眼的な短期投資家と根本的に異なるというものである。”
”長期投資家は何よりもまず短期投資家なのである。彼らは短期投資家が行うすべてのことを行い、長期の投資期間という利点があることから、それ以上のことを行うことができる。”
”動的計画法の解は、長期投資家して成功するためには短期投資家として成功することから始めるべきであることを示唆している。”
”もしリターンが予測不可能なら、長期投資期間のポートフォリオ・ウェイトは近視眼的ポートフォリオのウェイトと一致する。”
”長期投資家は独立したコイン投げを毎期繰り返すことになる。最適戦略は、毎期の資産配分を近視眼的な投資問題のように扱いながらポートフォリオのリスクとリターンを毎期管理することなのである。”
→イングソックのような言い回しがとても好き。
解が不明な最大収益の複利運用には、毎期最適化を行った単利運用で追いつくことができる。(イェンセンの不等式)
長期的に見れば米国株式の収益性に魅力を感じたとしても、近視眼的に見て期待リターンの高い他の資産を組み入れることはなんらおかしくない。むしろそれを行ってから初めて長期的視点の配分を行うべきであると読み取れる。
リターンが平均回帰する場合や、予測可能な成分を含んでいても最適戦略は有効だと後述されている。例えば配当利回りの高い地域の株式の配分を増やす事が有効だろうか?資産の期待リターンは経時変化する(大暴落の瞬間が最も高い)のでVT100%の運用がここで言う最適なポートフォリオでは無いのは確かか。
二つの話をまとめると
期待リターンあるいはリスクにターゲットを置き、バイ・アンド・ホールドではなく常にリバランスを行いなさい。
と解釈。もちろん著者の気持ちは違うかもしれない。
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この節で書かれているのはアカデミックな人たちの言う「最適な」ポートフォリオであって、個人投資家における税引き後、手数料調整後の最良なポートフォリオ選択では無いことにも留意するべきでしょう。