【RDS-B】ロイヤル・ダッチ・シェルは石油メジャーの一角で謎の高配当企業【銘柄分析】
こんばんは、ノディでございます。
私が受け取った課税後9月配当の内、3割を占める額を出した会社があります。
ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS-B)です。
エクソンモービルと同じく典型的な垂直統合型の石油メジャーです。
原油・天然ガスの採掘、輸送、精製、販売を行っており、地面の下から消費者に届くまで全ての場面に登場しています。
貝殻のマークは日本の昭和シェル石油でもお馴染み。
ユニリーバ(UL)と同じく英蘭企業で、ロンドンとアムステルダムのユーロネクストに上場しています。
ADRとしてニューヨーク市場にも上場しており、英国籍RDS-B、オランダ籍RDS-Aの2種類が存在。日本国内の投資家は税制上有利なB株の保有者が多いと思われます。
業績は良くない
折からの原油安でボロボロです。赤字でないのが不思議なくらい。
データはMorningstarから
(単位はmil USD)
(単位はUSD)
直近配当利回りは6.01%
配当性向は脅威の300%超え。
毎年莫大な投資を行っており、固定費が高いのだと考えられます。2013年をピークに投資を抑制して株主のためにキャッシュを絞り出そうとしています。
自己資本比率はまだ安全な水準を保っていますが、この高配当がいつまでも続く事はありえません。それを見越した上でマーケットは6%の配当利回りを許しているのでしょう。
あと数年間原油安が続くようなら配当額の半分以上を一気に減配することも十分考えられます。投資先とするならそれを覚悟の上で付き合うべきだと思います。
ただ、株主還元に積極的で、ホームページにおいても情報開示を積極的に行っているため好感が持てます。
配当金はドル建てを意識
以下Google翻訳です。
当社の方針は、シェルの基礎的な利益とキャッシュフローの見通しに沿ってドルの配当を増やすことである。
欧州企業でありますが、英ポンドやユーロではなく、米ドル建てでの増配を目指すとあります。最初にドルありきで配当額の宣言をし、その後でポンドとユーロの換算値を公表するすると言うのです。
直近の配当額の記録が公式HPにありました。
ここ3年は四半期配当は0.94ドルで固定されていますが、ポンド(ペニー)とユーロの数字はバラバラとなっています。
方針通り、ドルを意識した配当政策を取っています。
コモディティ商品企業で決算が読みづらい
原油のように市場で価格が決定される製品を扱う企業は決算が複雑です。
「在庫評価影響」
手元にある原油の在庫価値が為替や市場価格の影響から実質的な価値と解離した場合に現れる評価額の変動。
「CCS(Current Cost of Supplies)ベース利益」
在庫評価影響を取り除いて算出された利益。
といった独特の表現が決算書に出てくるため頭のなかに?マークが沢山浮かんできます。在庫の評価方法も複数有るため、個人投資家風情が正味の収益力を把握することなんてできません。
決算を読んで分析するといった思考は捨てた方が良いです。
あなたの分析とやら、多分間違っていますよ、それ。
同じコモディティビジネスである穀物メジャーのアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)の決算にはCCS利益は見かけませんでした。
すごい不思議。
垂直統合型の強みが生きてる
上流部門である採掘部門が原油安で苦しむ一方で下流の精製、販売部門は逆に恩恵を受けるという話が一般的だそうです。
最終的な製品へのマージンを多く取ることができるためです。(消費者から見て価格が変わらなくても利益は増える)
で実際のところどうなのかと、乱暴なグラフですが公式HPの資料を参考に作ってみました。
原油安が本格化した2015年を挟んだ2012年と2016年の利益構造のグラフです。在庫影響調整前ですが下流部門の利益はほぼ倍増しており上流部門の赤字を補っています。
上流部門のみに専念する企業には無いリスクヘッジが効いてる証拠でしょう。
私は保有を継続する。
ロイヤル・ダッチ・シェルにはメジャーならではの強みが有ることは確認できました。ただ原油安は構造的に起こっているものであり、当面復活は望めないでしょう。
エクソンモービルやシェブロンに比べてどうか?という事も当然あります。特別何かが優れている会社とは自信を持って言えません。
ただ、配当金は魅力であり経営陣の株主還元への積極的な姿勢も伝わってきます。
エクソンモービル1社で投資先は正直足りています。ただしプラント事故に備えるという意味でも2社に分散をしたいと考えました。
で、どうせなら国籍も分散させて配当も良いのがこの企業。
不安要素はあるものの保有を継続します。ほとんど後付の理由ですが...
※投資は自己責任でお願いします。株主の立場で作成した、独断と偏見と願望に満ちた記事という事をお忘れなく。