泡沫投資家ノディの米国株入門

インフレに勝ちたい

【EK】ある優良株の末路【KODK】

こんばんは、ノディでございます。

 

フィルムカメラを使った経験はあるでしょうか?

 

私はありません。

 

「写ルンです」なら使ったって?

 

あれは「レンズ付フィルム」なのでノーカウントです。

 

私はコレクションとしてフィルムカメラを持っていますが、使った事はありません。装填も現像も面倒なので、眺めているだけです。

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ライカDIIというレンジファインダーカメラです。

シリアルナンバーから1930年代製造の個体のようです。

(発売は1932年)

ドイツ工業力の恐ろしさが垣間見える一品。

 

ところで、このカメラという奴、100年以上「フィルム」が必要な機械でした。

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今回の主役

そしてこの「フィルム」で一時全米シェアの85%を握った優良株がイーストマン・コダック(EK)です。

 

ケビンさん、

一度試しに 優良株のコダックあたりで

”ウルフ・オブ・ウォールストリート”より 電話でセールスをする主人公ジョーダン・ベルフォート

 

世界中の愛好家、報道機関がコダックのフィルムを使って写真や映画を撮影していました。黄色のコーポレートカラーは信頼の証です。

 

現在でもマニアに愛されるコダクロームの作品性。

単なる記録手段だけではない、文化的なイメージを持ったブランドです。

 

当時の人はコダックを投資先としても、魅力的に感じたでしょう。

創業100年以上の老舗で圧倒的な規模、独占的な市場シェア、消費者にもプロにも愛されるブランドを持っていたからです。永続的に株主に報いることのできる会社に見えたはずです。

 

デジタルの波に乗れなかった

2012年に経営破綻しています。

新技術、デジタルカメラを世界で最初に製造しておきながら、結局フィルムカメラと共に衰退しました。富士フイルムとよく比較されますが、富士フイルムも相当なリストラを断行したので、もう別の会社と言ってもいいほどです。

寡占的で安泰なフィルムメーカーとしての地位はもうありません。

優良株が一転、素材セクターの、いち企業にまで変化しました。

 

永久保有を誓えるような会社では無くなったといえます。

 

今、フィルムのいる場所には、ソニーなどが製造するイメージセンサーが鎮座しています。

2002年に公開された「スターウォーズ エピソード2」がソニーのデジタルカメラで制作されたことで、フィルムの凋落は決定的なモノになりました。

 

コダックは独占的な立場にありながら、経営判断を誤ると会社が簡単に傾くことを教えてくれました。当然株価もゴミクズです。

単一の製品に頼る構図の危険性にも気付かされます。

今のハイテク株に対して、何かしらの示唆が云々は言いませんが...

 

再上場後の業績

コダックも大リストラ後、2013年にNY市場への再上場を果たしています。ティッカーシンボルは(EK)から(KODK)に変わりました。

 

売上高と営業キャッシュフローです。

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ゴミ株ですね。投資対象にはならない状況です。

 

株価は概ね5ドル程度で推移しています。再上場後もズルズルと下げ続けています。

 

配当はありません。

 

今の事業内容は法人向け印刷サービスです。ワイドモートもヘチマもない。コニカミノルタだってもっとマトモにビジネスをやってます。

 

今のビジネスが永続する保証はどこにも無い

技術革新や社会構造の変化に上手く対応できず、消えていった会社は沢山あります。

 

ヘルスケアや化粧品で生き残れた富士フイルムや、駅馬車運行業から銀行に転身したウェルズ・ファーゴ(WFC)、火薬メーカーが種子ビジネスを手がけるまで変化できたダウ・デュポンなど、具体的な成功例として名前があがるということは、産業構造の変化に対して上手に立ち回り、生き残れた企業が非常に少ない事の裏返しであることを示しています。

殆どの企業にとって、パラダイムシフトの発生は急激にしろ緩やかにしろ、死を意味している思われます。

 

今、安泰に見える私のポートフォリオを構成する銘柄たちも、いつかお別れが来るかもしれません。

IBMが一番あやしい

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