生活必需品セクターは市場平均に喧嘩を売っていたが...今後はどうなるか。
ここに来て生活必需品セクターが崩れ始めています。
VDCの価格推移を見ますと、2017年の上昇分を全て吐き出した有様です。
私もVDCを通して生活必需品セクターに投資している身、ただ根拠も慰めも無くホールドするのもつまらないので少し考えます。
これは『私のインデックス』(https://myindex.jp/)のリスク・リターンをそのままプロットしたものです。
15年データが揃っているSPDRシリーズのセクターETFの3月末時点における成績です。
なお、米ドルベース(配当込み)のデータです。
この図から何が読み取れるでしょうか?
15年という期間は短いので、セクター毎に何らかの普遍的な偏りが存在するのか、断定はできません。
ですが、少なくとも過去15年はXLP(生活必需品セクター)はSPY(S&P500)と同等のリターンを比較的少ないリスクで実現してきました。
XLPはSHY(米国国債1~3年)から市場ポートフォリオまで引いた線よりも上方にあり、リスク・リターンの相関が他より低い状態です。
昨年の株高を演出しながらも、いつか崩壊すると一部から散々言われてきたXLK(情報技術セクター)よりも成績が良く、CAPMに真正面から喧嘩を売っている状況です。
これが今後どうなるのか?
1)市場は合理的である。
早晩、低リスクに見合ったリターンに収斂するか、リターンはそのままにリスクが増加基調に転ずる。
2)市場はしばしば間違う。
リスク・リターンの相関は実際の市場で観測されない事もある。高リスク株やセクターに宝くじのような目が向けられている限り、今後も相対パフォーマンス差は継続する。
ちょっと分かりませんね。
『株式投資の未来』で書かれたセクター戦略はただの割安株投資だったのか、それともセクターの持続的な特性によるものだったのか。
そのどちらかに賭けるような投資になります。前者ならばタイミングが重要で、後者ならいつ買っても問題無いことになります。
バイ・アンド・ホールドを前提とすると少し高リターンの根拠に乏しいと感じます。
決して!
不調になったから考え始めたわけでは無いですよ!
ただし、『株式投資の未来』で示された成績は幾度かの不況を乗り越えて得られたものであることは見過ごせません。
「ゲームチェンジが起きた。これまでとは違う深刻さだ!」という心理が、時代によって大して変わらないから不当に売られた結果、高リターンに繋がった。
とするならば少し納得できます。
でも依然として高リターンの根拠が薄いような気もしますね。
高ROEが高リターンに繋がるとか、低PBRでスクリーニングされた株は高リターンになる。という話ぐらい薄いです。
低PER戦略や小型株効果と比べ、どうにも雲をつかむような話になっています。
リターンの源泉に不確実性がある以上、セクター戦略は単なる割安株投資であった。という前提に沿って動いた方が良さそうです。
つまり、指標や長期金利と比べた配当利回りの高低を見て、「お金が落ちてる」と思うくらい売られたら出動するということです。
ではなぜ今保有しているのかと言うと、勉強不足であったことに尽きます。
猛省です。
保有は可能な限り継続したいです。
市場ポートフォリオとは異なる比率で(株式の中では)低リスク資産のエクスポージャーを得ることに一定の意味はあると思います。
買い増しのタイミングを外したとしても、勝手に自社株買いでナンピンされていきますからね。
とは言ったものの、現在構築中の猿ダーツPFに一気に近づけるために、VDE,VDC,VHTの3セクターETFを売って、日欧株に置き換えたいと思い始めてきました。
そちらの方が割安だと思っているので...
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ところで、高配当株に対してしばしば言われる債券の代用という例えはあまり好きではありません。
株の代替になる債券があるような印象を持ってしまいそうですし、償還日に向かって価格が上昇していくロールダウン効果は株には存在しないからです。
せいぜい、債券と株は競合する存在である。
という程度ではないかと。
企業を永久債とみなすならば、金利上昇は割引率が上がっだけとも言えるため、割引後現在価値に変動はありません。
低成長連続増配株をポートフォリオに組入れ、金利感応度を上げることはむしろ金利リスクを遮断することに繋がります。
私にはそこまで達観は出来ませんが。
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専門主義の限界を感じます。
猿ダーツPFについてはこちらの記事。