泡沫投資家ノディの米国株入門

インフレに勝ちたい

小型中立株(IJR)VS 小型割安株(VBR、SLYV)結論は出せず。

目標ポートフォリオの一翼を担う事になる米国小型株ETFを考えます。 

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小型中立株か小型割安株のどちらを組み入れるべきか

 

シーゲル教授の『株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド』など、過去のデータが豊富な書籍を読んだことのある人なら答えは既に見えているのではないでしょうか?

過去、平均として小型割安株の方がリターンが良かったとするデータがそこかしこに存在します。

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記事タイトルの3者の争いはVBRで終了...

とはなりません。

 

少し詳しく見ていきましょう。

小型株に投資する場合、候補に上がるETFとして

VBR(CRSP US スモールキャップ・バリュー)

SLYV、VIOV(S&P スモールキャップ600 バリュー)

IJR(S&P スモールキャップ600)

などが上げられます。

他にもIWM(ラッセル2000)やIWN(ラッセル2000バリュー)がありますが省略します。

 これらには小型株効果と割安株効果の合わせ技で高リターンを得ることを目論んで投資をする訳ですが、

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VBRのサイズ別比率です。

 

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こちらはSLYVの比率、

 

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そしてこれはIJRの比率です。(画像は全てETFdb.comから)

 

実は定番の小型割安株ETFであるVBRは中型株が38%組み入れられています。

例えばVBR組入トップの(CDW)CDW Corporationという会社の時価総額は10.6Bilドルであるのに対してIJRトップの(CHE)Chemed Corporationは4.57Bilドル。

S&P500の組入最下位の(NWS)News Corporationは9.18BilドルとVBRトップより低いです。3社ともあまり聞かない会社に違いありませんが、意外にもVBRの上位銘柄は大きめの企業が含まれています。

「中小型割安株ETF」と表現した方が良いかもしれません。

バックテストで試してみますと、小型株の割合が大きくなればなるほど過去、リターンが高くなる傾向にあります。(もちろん他の要因もあるかもしれません。)

 

ちなみにVBRについて英語コミュニティを覗いてみたところ、REITが多いから選好しないという意見がありました。確かに不動産セクターが11%入っていて他より高いです。

 

こうなってきますとVBRは諦めて、SLYV(S&P600バリュー)への投資意欲が持ち上がってきます。

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2002年から先月末までのパフォーマンスです。

VTIと小型株ETFとで50%ずつ振り分けるポートフォリオを想定しています。

年平均成長率は

VTI :7.99%

VTI + IJR :9.13%

VTI + SLYV :9.31%

確かにリターンを追い求める人には小型割安株への投資が良さそうです。

 

しかし、年0.2%弱の将来不確実なリターン差を得るために比較的高いリスク(標準偏差)の受け入れと割高な経費率を支払うべきかどうかは微妙なところだと感じました。

IJRの経費率は0.07%

SLYVは0.15%

バンガードのVIOVは0.20%(しかも流動性がすこし不安になる量)

それにバックテストの類いは配当課税を無視していますが、バリュー系のETFは分配金がやや高めであり、リターンの足枷になることも懸念されます。

 

この世界で確実なのは、死と税金(あと信託報酬)だけ。

 

将来のパフォーマンスがどうなるかはわかりません。今後小型株が再び黄金期を迎える時があるなら割安株にしておきたいところです。

でも年金の資金が大量に供給されるほどのイベントは考えづらくもあります。

 

・・・

総合的に考えると小型中立株(IJR)に惹かれてしまいますが、どうでしょうかね?

ポートフォリオの改造宣言から10日、まだ悩んでいる最中です。

ラッセル2000はバックテストのリターンが悪かったので候補から外していますが、だからこそ!というひねくれた感情もあります。

 

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ところで小型株効果の普遍性、継続性についての私見ですが、小型株の事業基盤は大企業より脆弱である(どのくらい?)とか、少数の人的資本に頼っていることによる突発的なリスク(転職かレイオフか?)を市場が完全に織り込んでいるとは思えず、今後も高リターン傾向は持続すると思います。

正確には持続すると賭ける方のポジションを今後取りに行きます。

ひょっとしたら明日から綺麗サッパリ消失するかもしれませんけど。

何せ市場は合理的ですから。

 

例えば社債には国債より高いクーポンが要求されています。

もし市場が完全に効率的であればリスク(ここではデフォルトによるリターンの毀損)を織り込んだ合理的な利回りで債券価格は形成されるはずです。つまりリスク控除後の期待リターンは国債と同じになるはずですが、実際は社債の方がリターンは高くなることが多いです。

 

プロスペクト理論でいう効用曲線の歪みが悪さをしていると考えられ、損失を回避したいという感情がデフォルトリスクや流動性リスクを実際に起きる可能性よりも過大に見積もっている傾向にあるということです。

 

このような「訳あり商品」をバスケットで買っていれば全損の危険は無く、リスクプレミアムをただ同然で手にすることができます。ただし規模の小さいマーケットにしか平時では通用しません。

 

一方でただのミスプライシングに過ぎず、アノマリーが周知された時点で小型株効果は終了した。という意見もありますし、ETFを通じて簡単に資金が供給されますから、過去程のリターンは見込めないという覚悟は必要かもしれません。

さらに言えば、簿価時価比率で線引きすることで観測された過去の高リターンは、情報技術セクターが猛威をふるう現在の相場では再現されない事も考えられます。

 

どうしたものか

 

 

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