【VLUE】セクター比率がS&P500とほぼ同じバリューETF
花粉を許すな。
市場は何とも言えない動きが続いていますが、バリュー株が持ち直しつつあるように感じています。
バリューかモメンタムのどちらが優勢か確認するため、普段私が眺めているETFに VLUEとMTUMがあります。
直近6ヶ月の値動きです。
ここ数週間くらいでVLUEの底堅さが目に付くように感じます。
青:S&P500 (SPY)
赤:iShares Edge MSCI USA Value Factor ETF (VLUE)
紫:iShares Edge MSCI USA Momentum Factor ETF (MTUM)
VLUEはティッカーシンボルから想像できる通り、バリュー株に投資するETFです。
iShares Edge MSCI USA Value Factor ETF | VLUE
バリュー株ETFならすでにVTV(大型バリュー株)とか、VOOV(S&P500バリュー)などが有名です。
割安株への投資は過去良いリターンを出してきた他、著名な大物投資家が選好することもあって投資手法としては人気です。
一方で保守的な名称とは裏腹に値動きが荒かったり、市場平均リターンに対して長期間(ドットコムバブル前は6年半も!)劣後する場合もあるため腰を据えて継続できる人は想像以上に少ないと思います。
市場リスク以外を抱えるな。
と時価総額加重指数をプッシュする人は言います。心理的にもアカデミック的にもそれは恐らく正しい忠告でしょう。
そこでVLUEでは市場平均から外れることによって生じるリスクをマイルドにすることを狙うための工夫がされており、つまりセクター比率がS&P500とほぼ同じに設定されています。
↓こちらはS&P500(IVV)
と全く同じではありませんが、非常に近い比率で構成されています。
一方でセクターの内部ではバリュー株を組み入れますからPERはIVVの23.91に比べてVLUEでは16.70と相対的に割安となっています。
ベータが1.07とS&P500のそれ(当然1.0です。)を上回っており、多少値動きが激しいものの、直近6ヶ月の価格リターンは市場平均並で推移し、しかもPERは相対的にS&P500よりもずっと低い水準にあります。
他のバリューETFがエネルギーや生活必需品、電気通信に傾きがちなため、金利上昇や低成長にあえぐことが懸念されます。市場平均に対しての長期低迷は、いずれ心理的な判断から悲惨な投げ売りを誘発しかねません。
しかしVLUEなら業種別で市場平均と同じ割合でウェイトを設定していますから、市場と業種全体の成長の恩恵を受け、市場リスクから解離しすぎることを防ぐことが期待できます。
情報技術、ヘルスケアセクターの成長は高い確度で実現すると思っているものの、割高な株は入れたくない。
が、時価総額加重だと割高な株がどうしても多めに入ってしまうのではないか?
などと考える人向けのETFです。
副作用として、Appleのウェイトが10%を超えており賛否が分かれるところでしょう。
(シーゲル氏の株式投資ではセクター別のリターンの内、セクターの市場シェアの増加で説明できるのは20%。とありますから業種の成長に賭ける戦略は思惑どおりに行かない可能性も十分に考えられます。)
VLUEの15年リターン
VLUEとそのベンチマークの歴史は浅く、バックテスト含めた長期のグラフはMSCIのページを参照する必要があります。
市場平均を上回っていますが、シャープレシオは長期になるほど悪いです。
割安株投資はただのバリュー・チルトという主張に納得の内容です。
値動きを許容してでも絶対的なリターンが欲しい人や、「エネルギー、電気通信除くバリュー株」のようなETFが欲しい方にはピッタリの商品だと思います。
経費率は0.15%と私なら許容範囲内です。
※そもそも、MSCIがスマートベータのベンチマークとして売り出している以上、バックテストによる過去のリターンが市場平均を超えているのは当たり前の話で、むしろ今まで良かった分これ以降のリターンはパッとしない可能性もあります。
投資判断はあくまで自己責任でお願いいたします。
ちなみに日本のネット証券会社では扱っていません...。