泡沫投資家ノディの米国株入門

インフレに勝ちたい

MSCIエマージングとMSCIエマージング最小分散の国別セクター別超過ウェイト

タイトルの通り、MSCIエマージング最小分散における対MSCIエマージング指数の国別、セクター別の超過ウェイトを見ていきます。

使用したデータはブラックロックHPから取得したEEM(時価総額加重)とEEMV(最小分散型)のデータです。

 

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数値が正の場合は時価総額加重に比べて最小分散型の方がウェイトが高く、負の場合は逆に低いという見方になります。

 

最小分散型は効率フロンティア上の一番左側の点にあるポートフォリオのため、リスクが最小になるようデザインされています。

時価総額加重に比べて、生活必需品・ヘルスケア・電気通信・公益の投資割合を増やしているのは想像通りではないでしょうか?代わりに情報技術とエネルギーが大きく減らしています。一方で時価総額加重の新興国株指数に大きなウェイトを持つ金融セクターは、減るどころか若干ながらその割合を増やしています。(EEM:23.92%、EEMV:24.72%)単なる低ボラティリティ株の集合ではなく、銘柄間の相関を考慮しているためだと思われます。

 

国別の割合では中韓+資源国が減らされている一方で、台湾の割合が増えていることが気になります。結局のところ、原指数からリスクが大きく解離しない指数を目指すと東アジア新興国株からは逃げられないということでしょうか?他にはマレーシアとタイのウェイトが増加しています。

どうしても東アジアの大きさが気になるなら中国、台湾、韓国株をショートするか、ベア型のETFを加えて調整するしかなさそうです。

 

気を付けたいのは、EEMVは日本の証券会社からは買えないという事。だからといって安易に時価総額加重ETFで代用を考えると思わぬリスクを引き受ける結果になるかもしれません。

例えばEEMVにはマレーシアの割合が高いからと、EEM+EWMみたいなポートフォリオを考えることにあまり意味は無さそうだということです。

(EWMとEEM内のマレーシア株は47銘柄ですが、EEMVでは14銘柄しか入っていません。その14銘柄を増やす事が重要なのです。)

ブラックロックには是非ともスマートベータETFの国内取扱を進めてほしいですね。

 

これは、投資先をより細かく分けた割合です。

上がEEM、下がEEMVです。

ETFには現金やデリバティブが含まれているので厳密な数字ではないこと申し上げておきます。足しても100%ピッタリになりません。

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ここからはタイトルの内容からは逸れ、憶測混じりの私見に入ります。

下の画像はMSCIエマージング最小分散の、バックテスト含む過去の成績です。

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スマートベータの宿命に漏れず、バックミラーに依存する投資になりますが、最小分散型では過去の低リスク運用優位というアノマリーの継続に加えて、組入資産の過去のボラティリティの傾向が今後も継続するという前提に立った投資になります。今後のリターンは全く約束されていません。

 

しかしながら、先の金融危機で最小分散型は時価総額加重に比べてドローダウンを減らす事に成功しています。というより、バックテストでそうなるように作られています。景気回復局面には金融危機時に下げを抑えた効果が働くことで、幾何平均によるリターンが時価総額加重を追い越しています。

また、直近のように好景気な時期のパフォーマンスが時価総額加重優勢であることはリーマンショック前にも見られた傾向で教科書通り。次のリセッションまでの当面の間は、相対的なパフォーマンスが落ちるので魅力を感じづらいでしょうが、その心理こそ過去の高リターンの源泉となっているかもしれません。

 

なんちゃって等金額派を名乗る私は最小分散型にあまり魅力を感じない(ただの小型株、割安株効果なのでは?と思っている)のですが、EEMVが持つ複数国に跨って算出された最小リスクという特性には魅力を感じます。

EEMに限らず新興国株のETF全般、中国の割合が高すぎるように思うのですが、最小分散型なら一国集中のリスクを多少軽減出来るかもしれません。

隣り合う国の株式指数が、長期にわたる外交問題の影響で異なる動きをするとか、同じディフェンシブ株でもインドの公益株と中国の生活費需品株で全く違う動きをしても私は不思議に思わないです。

EEMVには自然と、中国株と相関が低い株が多く組み入れられているのではないでしょうか?

他にも中国に限らず、地政学リスクとか通貨安リスクとか色々ありますが、それらのリスクもまとめて最小化されるとは思えませんか?

全て憶測ですし、正しかったとしても所詮バックミラーから見た世界なのですが...

 

EEMVなら先進国株との比較的低い相関と、新興国特有のシステマチックリスクの最小化の両方が狙える。

という具合に時価総額加重とは異なる分散効果を持っているかもしれません。

 

一方、他の地域の最小分散型には、

USMV、JPMVは単一の先進国株で市場の効率性が強く、旨みが少ないと思われる。

EFAVは先進国株のグローバル要因に対する株価変動の相関性が強いため、わざわざ国を越える最小分散型の意義が少なくコストの無駄に終わる可能性が高い。

という懸念が有り、新興国最小分散だけ輝いているように私には見えます。

 

 

最小分散投資によるカントリーリスクの軽減効果に触れている文献があったらぜひ読んでみたいですね。

 

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