泡沫投資家ノディの米国株入門

インフレに勝ちたい

マルキールの猿がダーツを1000回投げて決めたポートフォリオはどうなる?

新聞の株式欄に向かって猿にダーツを投げさせて組んだポートフォリオはプロの運用者と遜色ないパフォーマンスとなる。

という有名なエピソード。

インデックス以外の手法はコストの無駄であると主張する人たちによく取り上げられます。

では、

1000銘柄を対象に1000回ダーツ投げを行ったとしたらどうだろうか?

An Evaluation of Alternative Equity Indices - Part 1: Heuristic and Optimised Weighting Schemes - City Research Online

上の論文では、毎年1000万匹の猿にダーツを投げさせ、当たった銘柄には0.1%のウェイトを加算。それを1000回繰り返してもらいというものです。

1000回目で100%に達しますが、複数回当たる銘柄もあるでしょうし、一度も当たらない銘柄が存在する可能性も当然あります。

1000銘柄ということはベンチマークがS&P500でないのは確実ですが、具体的な母集団は英語力不足により見つけられず...。

1968年から2011年までこの実験を行ったとして、この猿たちの成績はどのようになったでしょうか。

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太い黒線が猿のパフォーマンスの分布です。見事なベルカーブを描いていることが分かります。

時価総額加重平均のパフォーマンスは濃い緑色(Market cap weighted)の点線で一番左側です。

それに対して猿の最頻値である曲線のトップは時価総額加重平均よりも右側に寄っています。

つまり殆どの猿は少なくとも過去において、時価総額加重平均指数をアウトパフォームしています。

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シャープレシオでも猿強し。

 

この逸話は『スマートベータの取扱説明書』で紹介されています。

論文まで遡るとなんだか頭が良くなった気分がするのでオススメです。

スマートベータの取扱説明書

スマートベータの取扱説明書

 

 

猿が市場平均に打ち勝つカラクリ

猿の話を持ち出してアクティブ投資を不合理だとするインデックス投資も猿に負けているという不合理。

時価総額加重ではない、よく分散されたポートフォリオはたとえ何の思想も持たなくても時価総額加重平均指数を上回る可能性が非常に高い。

と言ってしまっても良いのではないでしょうか。

 

時価総額加重平均指数はモンキー・ビジネスなのでは?

 

plaza.rakuten.co.jp

論文でも触れられていますが、ここは山崎元さんの記事から

モンキー・ポートフォリオの銘柄毎の投資ウェイトを、できれば等金額ウェイト(100銘柄なら、1銘柄がポートフォリオの1%)、そうでなければ等株数ウェイト、と考えることだ。

(中略)

古くから「小型株効果」という言葉があるくらいで、長期的には、小型株の方が、パフォーマンスが良い傾向がある。

従って、等金額ウェイト(時価総額の小さな銘柄のウェイトがベンチマークと比較して相対的に大きくなる)や等株数ウェイト(単純な株価の高さがウェイトを決めるが、やはりベンチマークよりは、小型株の比率が大きくなりがちのはずだ)のモンキー・ポートフォリオは、時価総額比例ウェイトのインデックスにやや勝ちやすい。

時価総額加重平均の手法を取らないことにより、市場平均に比べて小型株傾向が出るために、それをアウトパフォームするとしています。

猿たちの平均が濃い紫色の等金額加重(Equal-weighted)に近い場所にいる事からも、モンキー・ポートフォリオは等金額加重と同等の性質を持っているのではないかと思えます。

 

等金額加重ではリバランス時に利益のある株を売って、小型株・割安株を買い増す動きがあるため、市場平均を過去超えてきました。

 

今後も小型株効果が有効なのかはわかりません。

ただ一般的なインデックス投資である時価総額加重平均に割高傾向があることは事実だと言えそうです。

 

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時価総額加重平均指数投資が他のアクティブ投資家を長期的に打ち負かしてきたのも事実です。

市場の一部に不合理さがあるからといって、パッシブ運用を完全に代替できるような普遍的な手法は存在しないと思います。

ただ、アクティブ投資家は猿にも負ける投資法だ!などと安易に煽らないように気を付けたいですね。

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