泡沫投資家ノディの米国株入門

インフレに勝ちたい

金利上昇で高配当ディフェンシブ株が叩き売られたとしても 慌てる必要は全く無い。

最初に断っておきますが、私は食品やタバコ株を持っていません。

運の良いことに年明けに殆ど売ってしまいました。

 

少しだけ持っていたVDCも先日手放しています。

金利上昇ネタはもう古いですが、自分の頭の整理及び、数年後に読み直したら面白いかなと思って書いていきます。

外野からの意見であることを割り引いてお読みいただければと。

 

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1月末以来、金利上昇に歩調を合わせる形でいわゆるディフェンシブ株も下がっています。一部で「金利が上昇することで、債券代用のディフェンシブ株は叩き売られる傾向にあります。」という言葉を目にする他、「ここで勇気を持って買い増しすることで高リターンを得ることができます。」と断言する勇者もいらっしゃいます。

 

ですが、よくよく考えてみますと、金利上昇の前後で状況は全く変わっていないと思います。

そもそも資産運用というのは何歳までに◯◯円欲しい!とか、何歳までにアーリーリタイア!のような事の実現を目論んで行っていると思います。(ちなみに私にとって投資は退路とか非常口のようなものです。要は「Fu◯k You Money」の構築)

 

つまり投資は自分用の年金資産の運用であって、今の証券口座の中にあるお金は、未来の自分に支払わなければならない年金給付債務が現在価値に割り引かれたものです。

 

その割引率はリスクフリーレートの動きに左右されますから、今回のように金利が上昇し割引率が上がると、その割引後現在価値である資産価格が下がります。逆に金利が下落すれば割引率も下がるため資産価格は上昇しますが、一連の流れの前後で将来価値に変動はありません。

 

つまり金利と資産価格における負の相関性が強いほど、金利リスクを遮断する事に繋がります。とりわけ、ディフェンシブ株は全体として金利に機敏に反応する傾向が見られるため、ディフェンシブ株中心のポートフォリオはむしろ金利変動に対して頑強であることが期待できます。

タイトルの通り金利上昇で株価が下がったならば慌てる必要はありません。リターンが高いか低いかは別として、ディフェンシブ株を買った時点で金利水準に関係なくリターンは確定したようなものなのです。バスケットで持っていれば尚確実性が増すでしょう。

 

さらに言えば、慌てて買い増す必要もありません。

もちろん低ベータなディフェンシブ株のエクスポージャーを得ることは否定しません。(この記事内ではディフェンシブ株を金利と配当利回りの相関が比較的高い、キャッシフローの安定している成熟株の群としています。)

最悪なのは金利調整後の実質リターンは全く変わっていないのに、嬉々として買い増しに動いてしまう事じゃないでしょうか?本人は安値で仕込んでやったぜと意気軒昂である一方、リターンの改善に全く寄与するものがありません。

金利上昇中は企業の負債コストが上がったり、コモディティ価格の上昇で輸送費等が嵩んだり、インフレで労働者の給料を上げなくちゃいけなかったりするので、成熟企業はEPSの下押し圧力に苦しむことになります。

どうせ買うならそれらの悪材料がWSJの紙面を一通り飾った後、あるいはFedが再び利下げに転じてから買い増しに動いても遅すぎるという事も無いかなあ...と私は思っています。黙っていても自社株買いされますから。まあ、もう持ってませんけど。

もし、株価が金利上昇の影響以上に下落していて、それを確認できる観察眼か水晶玉を持っておられて、最後に期待リターンが満足のいく水準なら今すぐ買っても良いと思います。個別の銘柄によってはしっかりとした成長を続けているとか、金利高の影響が他より少ないのに市場は一緒に投げ売ってしまっているような裁定機会が存在しているかもしれません。

勇気を持って買い増しした方はその想いと理由を書き連ねていただけるとすごく勉強になります。

 

 

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補足

ポートフォリオの金利感応度を上げ、年金資産と退職給付債務の変動を一致させる運用の事をデュレーションマッチング戦略といいます。

つまり個人投資家にとってはあまり意味の無い考え方です。

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