泡沫投資家ノディの米国株入門

インフレに勝ちたい

新興国株はインフレと正の相関性を持つが参考にはしない

インフレーションは消費や新規投資の減退をもたらすため、株式に向かい風になるというのがよく言われます。

クーポンが額面で支払われる債券も、やはり良くないという向きが多いです。

しかしそこは我らが新興国、インフレという逆境にも負けずに外れ値を叩き出しています。

 

Inflation and the Inflation Risk Premium | Columbia Business School Research Archive

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1970年から2010年までの地域別インフレーション・ベータの推計です。(インフレーション・ベータはインフレに対する資産の感応度)

先進国株、中でも北米ではインフレーション・ベータが大きくマイナスです。よく言われるようにインフレが進むと株式のリターンは悪くなります。予想外のインフレに対しては-0.99とほぼ逆相関と言っていいくらいです。

一方新興国を見るとインフレ、予想外のインフレの双方に対し、債券も株式も相関性は正です。それも1に近いため(現地通貨ベースで)インフレ率の上昇と株式リターンの上昇は同じ程度にあります。

 

話が本筋から離れますが、予想外ではないインフレに対する債券の善戦振りにも注目。

市場は予想されるインフレ率分、債券を割り引いて値付けをします。クーポンの再投資とリバランスを行えば名目債券でもインフレ期に対応できるのでは?と若干期待が持てます。

TIPSは逆にインフレリスクプレミアムという保険料が載り(価格は上昇、実質利回りは低下)、財務省が保証する国債なのに金融危機時に価格が下がったほど流動性に難のある資産なので私はあまり魅力を感じません。

予想外のインフレはコモディティ要因が多くを占めるのですが、太陽光とシェールオイルのおかげで弾力性が増してるとすれば、突然ドカンとインフレが進むなんてこと起きづらいと思うんですけどね。ドル安要因をどれくらい市場が織り込んでくれるか...

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結局未来はわかりません。

 

本題に戻り、国ごとのインフレーション・ベータが下の画像。

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濃い青の棒は統計的に有意な結果を示すそうです。

新興国をバスケットで買えばインフレに耐性がある。と言っても単一の国でみるとバラバラです。やはり分散が大事なのでしょう。

 

 

ここまで数字を見てきましたが論文ではデータが2010年までとやや古いです。加えて新興国株のインフレ耐性が強いのはなぜなのか、私には見当もつかないです。金利が高いからか、またはGDP成長率なのか、人口増加なのか、貿易額なのか、消費者と経営者のマインドの問題なのか、あるいは市場の効率性であるのか?

もし、これを手がかりに投資を判断しようとすると、考慮するべき変数が多すぎるのです。まったく同じ市場環境が存在しない以上、この数字は私にとってあまり参考になりません。アメリカの利上げとは別の話でもあります。

ただ、先進国のセオリーは新興国だと当たり前のように通用しないこともある。ということだけ頭の片隅に留めておきます。

 

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