泡沫投資家ノディの米国株入門

インフレに勝ちたい

【日記】生活必需品セクター主要銘柄のPBRとROEを並べてみる

ADR含む米国上場生活必需品セクターの主要銘柄のPBRとROEを並べてみることにする。

数値は先週末時点におけるfinvizのページから拝借した。 

対象はバンガードの生活必需品ETF VDCのトップ30銘柄+BTI、UL、BUD。

特別ゲストとしてアップルのデータも掲載。

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※債務超過の企業は数値が出せないのでグラフにも載せていないことに注意

 

ご存知の通り、ROEは株主資本あたり純利益で、PBRは株式時価と株主資本の比率である。配当や自社株買いによって株主資本を圧縮すると両者は上昇する関係にある。

当然の結果としてROEとPBRには正の相関があるはずだ。

だがそう見えない株も見受けられる。注目するべきなのはこいつらだろう。水色の線で囲ったあたりだ。

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左上隅はエラーにしか見えないので無視するとして、近似線の上側にある株は他の株よりROEが高めだが、PBRがそこまで高くない。逆に下側にいる株はROEが低いのにPBRは高い。 これが今後どう動くだろうか?あるいはこのままなのか?

サンプルが少ないとか、誤差の範囲だとか言い出したらそれでおしまいだけれど、こういうのを考えるのはとても楽しい。

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いくつかの銘柄のティッカーシンボルを追加。赤い近似線はBTIを除いたものだ。

まず飲料系3社は軒並みROEに比べてPBRが高く、割高に感じる。もちろん、飲料事業は安定さ故に割引率が低く、余計なリスクはボトラーに丸投げしているため多額の自己資本など不要であるし、将来のROEを高めるため今期の利益を圧縮して先行投資(会計上の償却だけではなくマーケティング費用等も含めて)していることも考えられる。

マーケットが決めた株価は長期の利益を概ね織り込んでいるので、これらが割高だとする直感は間違っている可能性が高い。

 

だが、あえてどう動くか予想をぶち上げてみよう

①ROEの水準をそのままにPBRが低くなる。(近似線に向かってグラフを左に移動)

②PBRは変わらず、ROEが高まっていく。(同、上に移動)

③ROEとPBRの関係は変わらず、簿価成長に伴って株価が上がるか、配当込みリターンが上昇する。(傾きが変わらずに右上に移動)

④変化なし

のいずれか、私は①か②のシナリオだと思う。つまりこれ以上時価が上がらない方向だ。1年後の答え合わせに期待したい。

 

次に注目するのはアルトリアとケロッグ。これらはROEに比べてPBRが低めであり、割安感がある。もちろん、タバコ需要やシリアル食品需要の減退が懸念されている結果として割引率が高く、実際に長期リスクにさらされている可能性も考えられる。こちらもコカ・コーラ同様、マーケットは偉大だった。という結論に終わるのかもしれない。ただ、先の飲料系と比べてケロッグやアルトリアの方が魅力的に感じるのは確か。直近の株価を見るとケロッグはグラフを右に移動しているように感じる。

仮に生活必需品セクターの大型個別株を買うとするならば、ケロッグやアルトリア、あとクローガーを取りに行きたい。ただしケロッグとアルトリアはPER10未満であることが条件だ。どのみち余力が無いからおそらく買うことは無いだろう。

こちらもしばらくしたら答え合わせを行いたい。

 

この記事を書いていると、成熟株の現在のバリュエーションから将来の値動きを予測することが容易なものではなく、主観的なストーリーに頼らざるを得ない事をまざまざと思い知らされる。もちろんインデックス投資が暇すぎるからこんな事をやっているのである。

 

そして憶測と妄想を羅列した結果、自然とですます口調が封殺され、なんだか上から目線な雰囲気になってしまったことをここで詫びておく。 

〇〇株が上がると思います。

なんてわざわざ丁寧に言う意味をこれっぽっちも見出せなかったんだ。

「あなた、〇ぬと思います。」のような弱い語調の占い師の言葉を、少しでも信じて行動してみようと思うだろうか?

 

最後に、フィリップ・モリスのようにROEが正常に出せなかった企業のことも考えてROI(投資利益率)も掲載する。データは同じくfinvizから。

ROIは(EBIT/投下資本)で、本来は分子がNOPAT(税引後営業利益)となるROIC(NOPAT/投下資本)の方がバリュエーションを見る際には適切だと思うが、finvizにデータが見当たらなかったので仕方なく。ADRも含んでいることを考えれば税引前の数字であるROIの方が比較分析として案外良いのかもしれない。

債権者の投下資本も含めた事業資産が生み出す将来キャッシュフローを、加重平均資本コストで割り引いた後、債権者の取り分である負債価値を差っ引けば株式価値が出てくる。株価は理屈の上ではそのようにして決定されている。株主資本がマイナスとなっている企業もこの方法を使うことが可能だ。

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この記事に出てきた株の中で一番魅力的なのはアップルであろう。近似線にほど近く、何のパズルも存在せず、利益と株価のアンマッチなぞ起きそうにない。

 

ところで最近の私の投資はPBRやPER、配当利回りといった倍率の変化をアテにするといった願望を捨てている。今ではPERの現状維持を星に願いながら、EPSの成長を素直に追いかけたいと考えるような精神状態となった。

結果、自然とグロース株の保有が多くなってしまっている。ブラックロックにも先週別れを告げた。このあたりの心境はその内個別の記事にしようと思う。

 

www.homatsu-noddy.com

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