【勉強メモ】残存年数別の債券投資戦略3つの型
リスク資産としての名目債券についてのメモ
イールドカーブの変化には傾きが大きくなるスティープ化、小さくなるフラット化、そして全体的に移動するパラレル・シフトがある。
BEIぶん割り引かれる長期債の方がリターンは良いが、リスクとのトレードオフは避けられない。
TIPSは債券と現金の間にある資産と言えよう。アンドリュー・アング氏は『資産運用の本質 ファクター投資への体系的アプローチ』でTIPSはインフレヘッジとしては不十分としている。(代わり勧めているのは短期債だ)
債券投資は生債券の保有か、ETFを通じたものが考えられる。
生債券の運用戦略として、
市場ウェイトで保有するパッシブ戦略は株式に比べて非効率性が高いとも言われるが、自分から見たアルファは他人から見れば単なる裁定機会であり、裁定できないような制約が大人たちに無ければ継続するアノマリーたり得ない。
金利の変化を予想できる人はデュレーション戦略が良い。
金利が上がると踏んだ人はベンチマークよりもデュレーションを短く、下がると考えた人は長くすると超過リターン(実質リターンではなくベンチマークを超えるという意味で)を得る。
残存期間の配分に着目した戦略を並べるとおおよそ以下の3つが目につく。
・バーベル(ダンベル)戦略
・ブレット(弾丸)戦略
・ラダー(梯子)戦略
横軸に残存年数、縦軸に保有額を示した棒グラフを描いたとき、似ている形状からそれぞれ名前がつけられている。
バーベル型は短期債と長期債への集中投資を行う。
ブレット型は一定の年限に集中投資を行う。
スティープ化にはブレット型が有利に、フラット化にはバーベル型が有利だそう。(もちろん今後の変化の話であって、今がフラットだからバーベル型が有利だという事ではないだろう)
ラダー戦略は短期、中期、長期債に均等に割振る。棒グラフの並んだ棒が横倒しにした梯子に見えるのでこの名前。金利変動リスクは他の2戦略よりも低くなる傾向にある。
生債券は日本の証券会社でも買えるものもあるが相対取引であるし、実際としてはETFでの投資が主流だと思う。
債券ETFの残存年数を並べると以下のようになる。
BND
VGIT
IEF
一つのグラフにまとめるほどの気力がなかったので、全部の棒を横に重ねたい物好きはバンガードとブラックロックのHPからスプレッドシートをダウンロードだ。
余談。ノーフォークサザン鉄道の100年債なるものがあるようだ。
ポートフォリオの一部に債券の追加を検討する場合、知らず知らず余計なリスクを背負ってはいないだろうか?
長期債は金利上昇で値下がりするが、金利上昇は株にもマイナスに働くことは今年になって嫌というほど認識させられた。同じファクターでビンタを2回食らう事態は避けたい。
では更なる金利低下による値上がりが良いのかと言うと、インカムの低下と将来の金利上昇リスクの蓄積が起こり、リターンに対してリスクが見合わなくなるのでやはり良くない。
ならばインカムの上昇を求めて短期債への集中投資が良いか、あるいはIEF+BNDとかにして擬似的なラダー戦略を取るか?
ひとくちに債券といっても奥深い世界があって、勉強が足りないと気付かされる。
もちろんリスクの調整は無リスク資産で行うべきであろう。