先進国株と新興国株の共変動は強まる傾向に
新興国株の魅力は先進国を凌駕する累積リターンと、先進国世界との共分散による効率フロンティアの拡大です。
ところが、かつての日本株が同じ道を辿ったように、グローバル要因の株価変動が大きくなっているようです。
以前から何となく そうだろうなーと思っていましたが、日本銀行のワーキングペーパーで示されてしまいました。
(論文)株式リターンのグローバル共動性:傾向と決定要因 : 日本銀行 Bank of Japan
上の画像のデータは2015年までのものなので原油価格や金融緩和による全部バブルの影響は考慮しなければなりませんが、サンプル期間を通じて新興国株のグローバル株式に対する共変動は漸増傾向です。
面白いのは経済開放が他の国より進んでおらず、世界株の時価総額シェアも低い中国の数値です。2000年代後半以降は共変動が他国より際立って強く、そして安定しています。
経済規模や貿易額を考えたら当たり前のような気がしますが、想像以上に一緒に動いているという印象。
中国株や隣接する経済圏の株は新興国株指数に多くのウェイトを占めるため、新興国株の変動はグローバル株式と大差無いと思わせる内容です。
ではなぜ新興国株の累積リターンは先進国より高いのか?
例えば比較的高いインフレにある新興国の企業は利益余剰金をすぐに再投資するインセンティブが強く、使わなくても価値が毀損されるため事業のレバレッジが強まる。つまりハイリスク・ハイリターンなだけである。
という筋書きが頭に浮かんだが、もちろん違うかもしれない。
あるいは、過去50年間程度の短いサンプル期間では現れなかったリスクを市場は織り込んでおり、一見割安に見えるがひとたびリスクが顕在化すれば一気にこれまでの超過リターンがすべて吹き飛ぶようなケースも想像できます。
ともかく、ある日突然相関性が消失することもありえなくはないのが新興国株なので、一国集中はなるべく避け、分散に務めるべきだと思います。