泡沫投資家ノディの米国株入門

インフレに勝ちたい

期待リターン=株式リスク・プレミアムは経時変化が重要

将来の株式リターンが分かればとても嬉しいと思いませんか?割引後現在価値はわかるのに一期先の価値が分からないなんて理不尽です。

 

まずゴードンさんが1963年に作った配当割引モデルからスタートします。株価は将来配当の割引現在価値なので

株価=次期配当/(期待リターン-配当成長率)

上記式で表されます。これを期待リターンを求める式に変形します。

 

期待リターン=(配当/株価)+配当成長率

 

期待リターンが高い条件が出てきました。

(配当/株価)=配当利回り が高いほど期待リターンが高い。

配当成長率が高いほど期待リターンが高い。

 

で、忘れてはいけないのが期待リターンが高いということは割安であるという事なのであって、高い期待リターンが株高となって実現する話とは別物であるということです。万年割安株、万年割安指数を掴まされないためには、期待リターンの経時変化が重要になります。

 

 

最初の式をもう一度

株価=次期配当/(期待リターン-配当成長率)

株価上昇の恩恵を享受したいと思うならば、分母が小さく変化する必要があります。

もしバリエーションが魅力的だと感じて自動車株や金融、商社株、新興国株指数を多く組み入れている人は

・期待リターン=割引率=株式リスクプレミアムが今後小さくなる。

・配当成長率が今後さらに大きくなる。

と予測しているポジションを取っていることになっています。

最初の式の分母を求めるように変形してみましょう。

 

期待リターン-成長率=配当/株価=配当利回り

 

配当利回り下落に賭けると良さそうです。

配当よりも株価の方が標準偏差が高いため、配当利回りの下落は主に株価の上昇によって演出されます。

株価を主役に置くなら、

配当利回り≒益利回り

と言い換えてもあまり不都合はないでしょう。

よく分散されたポートフォリオなら両者の相関係数は高いですし、利益剰余金も配当金も株主に帰属するお金です。

 

こうなってくると単純に過去、あるいは他と比べて低いPERが今後高くなるだろうという事を言っているに過ぎず、配当割引モデルを使った取引の不毛さを感じずにはいられません。

 

次に株式リスクプレミアムの予測可能性を考えます。

先程の配当割引モデルで求めたリスクプレミアムと未来の水準との違いを捉えようとするものです。

 

期末の超過リターン

=切片+係数×期初の予測変数群+残差項

 

この一次方程式を使って過去有意だった予測変数の中身が分かれば自ずと次期の超過リターンも分かるという胡散臭さ。

予測変数は配当利回りや長短金利差でも良いですし、ツイッターで$AMZNが呟かれた回数でも構わないです。

最小二乗法では係数のバラツキが小さくなるような予測変数が予測力の高い変数になります。ただし期間が重なっているので実際の精度よりかなり良い数字が出てくることに注意が必要です。

 

ここで、みんな大好きバックテストと言いたいところですが私はプログラミングとかよくわからないので、学者やら実務者の肩に乗ります。

 

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(引用元:『資産運用の本質-ファクター投資の体系的アプローチ』アンドリュー・アング)

 

・10年益利回り(CAPEの逆数)と消費・資産比率が統計的に有意

・配当利回りとタームスプレッドは比較的相関が高いが統計的に有意な程ではない。

・短期国債利回りとインフレはリターンにマイナスだと思われるが統計的に有意なものではない。

 

米国市場では以上のことがわかります。消費・資産比率はリアルタイムで個人投資家がアクセスできる数字ではないので事実上CAPEしか使い物になりません。

確度を上げるために考えられるのは、10年益利回りと配当利回りが高く、長短金利差が開いている一方でインフレは抑制された状態(←???短期金利の低下が長期金利より大きくなるような金融緩和のスタート地点ということか?)に移りそうな地域、国への投資が報われそうです。いつ報われるかは誰にもわかりませんが。

 

acrinv.com

もう一人、Googleで「Shiller PE t-test」で調べたら上の方にこんなページがありました。

期待リターン=(10年実質利益/株価)+予想インフレ率

記事中のリンク先にある人が上記モデルのバックテストをしています。

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Rスクエアの平方根である相関係数は、米国で0.78。米国外市場では約0.90もあります。

必然か、あるいはデータマイニングか?

かなり似通った線を描いています。

 

CAPEが有効だとは思いつつも...2014年に米国株アンダーウェイトシグナルが発せられてから4年。チャイナショックとトランプ大統領誕生からの貿易戦争懸念を挟みながらもまだ米国株はモメンタムを保っおり、タイミング投資の難しさを物語っています。

CAPE派の敗北宣言まで、わずか6年しか残されていません!

 

私はインデックス運用に関しては地域・規模別等ウェイトを目指す猿ダーツ派なので、心穏やかに成り行きを眺めたいと思います。

 

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